ジャスティスリーグ・ニュー・フロンティア レビュー

ジャスティスリーグ・ニュー・フロンティア(DVD)の スーパーロング・レビューです。

ジャスティスリーグ・ニュー・フロンティア レビュー

ジャスティスリーグ・ニュー・フロンティア

アメリカの希望にあふれていた時代と、シルバーエイジの新たなスーパーヒーローが登場した輝かしい瞬間に捧げた、シルバーエイジ・コミックへのオマージュ。

ジャスティスリーグ・ニュー・フロンティアより 今やアイコンとなった有名なパネル


【管理人の総評】(★マーク5つが最高点)

■ ストーリー:★★★★
■ 音楽:★★★★☆
■ 声のキャスト:★★★★☆
■ キャラクター・デザイン:★★★★
■ Aニメーション:★★★★

!!!以下の記事にはネタバレが含まれていますので注意!!!


この映画の感想を書く前に、私のファンとしての立場を明らかにさせておきますね。
まずスーパーマン・ファンであることは言うまでもないですが、ゴールデンエイジ(1938〜1951年)、シルバーエイジ(1954〜1968年)にかけてのコミックは、ほとんど読んだこともないですし、またこれまで全くといっていいほど興味も持っていなかったということをあらかじめ断っておきます。
なぜなら映画(特にコミックを題材としたアニメーション)は、観る人の立場によってかなり違ったものになるという印象を度々受けたので...。
ですから、今回私はこの映画のバックボーンとなっている時代のこれらのDCキャラクター達の背景は、まったくもって知らないまま映画を観た上での感想、ということになります。

まず、観終わった直後の感想ですが、そういった物語の軸になる歴史をまったく知らなかったわりにはとても楽しめました。【PG-13指定】ですが、小さな子が観ても問題ないと判断したので子ども達にもみせたところ、6歳の息子は<超>感動して、「これまでで一番クールな映画だー!」と興奮していました。

(※家庭によって、いろいろなご意見があると思いますので、大人だけで先に観てご判断してくださいね。)

はじめてこの映画のアニメーションを目にした時、その独特のレトロ風なタッチに少し抵抗を感じていましたが、原作となったコミックを読んで気が変わりました。まさに、コミックからそのまま息づいて飛び出してきたかのようなアニーメーションは実に美しく、CGで作られたシーンも意識的にかなり減らしているようで、全体に調和が取れたすばらしい出来上がりになっています。

さて、いろいろ書いていくうちに、かなり長文になってしまったので、このレビューは、【キャラクター・デザイン】、【声のキャスト】、【音楽】、【アニメーション】、【総評】というふうに、各セクションごとに分けてみました。ですから皆さんのご興味のある箇所だけでも読んでいただけたらと思います。


■ 【キャラクター・デザイン】...レトロタッチが逆に新鮮

原作コミックのデザインを忠実に再現していますが、作者のダーウィン・クックはシルバーエイジのコミックのデザインを参考にしているようです。

・スーパーマンの胸のSマークの背景が黒色
・ワンダー・ウーマンは星印のパンツ(と呼んだら失礼?!)の変わりに、星入りプリーツ・スカート
・バットマンのコスチューム・チェンジ。最初は鋭く長〜い耳のコスチュームで登場 ⇒ 次のシーンでは短い耳になっています。
※その理由をバットマン自身は、「子ども達でなく、悪党を怖がらすのが目的だから」と説明していますが、耳が短くなったバットマンは確かにバット(こうもり)、というよりは’ふくろう’に見えるかも?!
・スーパーマンのケープが、真っ赤ではなく、「スーパーマン・リターンズ」のようなボルドー色

コスチュームの細かな変更点はさておき、この映画でいちばん気に入ったのは、ワンダーウーマンの身長です。なんと、彼女はヒーロー達の中で一番背が高いのです!(スーパーマンよりも大きい)
アマゾンの戦士として彼女を描いたという原作者のダーウィン・クックですが、その容姿は彼女の性格にも反映されていて、ベトナムのジャングルの奥地の村で、現地で救出したベトナム人の女性たちを相手に、酒を片手にテーブルの上に仁王立ちしている彼女の豪快な姿は最高!

ニューフロンティアのワンダーウーマン

コミックの中でのワンダー・ウーマンは、《ジャスティスリーグの紅一点》として、セックスアピール的なところがふんだんにあってこれまでなかなか好きになれなかったんですが、このニューフロンティア版ワンダーウーマンの頼もしい戦士ぶりには、とても好感がもてました。

グリーンランタンとフラッシュについては特にこれまでのシリーズと変わった点はないようでしたが、ギークから言わせればきっと彼らも細かな部分で相違点があるのかも?


■ 【声のキャスト】について...「あのキャラ」を除いては文句なし!  

まずは、この映画の主役、グリーンランタンことハル・ジョーダンと、マーシャン・マンハンターズの二人は言うことなし。一番驚いたのは、キャロル・フェリス役のブルック・シールズ。アニメーションの吹き替えはほとんど経験のない彼女ですが完璧といえる演技力を発揮してこのキャラクターに奥行きを与えてくれています。

キャロル・フェリス

キング・ファラデイの声を担当したのは、人気ドラマ「ヤングスーパーマン」にマーシャン・マンハンター役で出演中のミゲル・フェレ。そしてバットマンの声に、ジェレミー・シスト。’ザ・センター’というこの物語のヴィランの声を担当したのはキース・デビッドで、このあたりは低音で渋い声の競演です。

さて、ファンからは「バットマンの声がダメダメだー」との苦情が、あちらこちらのサイトの掲示板でたくさん見受けられましたが、確かに1990年代初頭からかれこれ15年以上もバットマンの声を担当してきた、あのケヴィン・コンロイにかなう人はこの先そうそう出てこないと思います。今やバットマンに息を吹き込めるのは彼以外にいない、と多くのファンに言わせるほど、ケヴィン・コンロイの声はダークナイトとして、まさに<完璧>だと私も思う。

それらの事実を書いた上であえて言いますが、今回の映画に他の声優をキャスティングしたのは大正解だったと思います。だってこの映画は、1950年末から1960年初頭と、これまでのシリーズとはまったく違う時代が舞台となっているんですから、ここに登場するキャラクターの声が変わるのはごく自然なことだと思うんですね。

さらに、ジェレミー・シストは実にいい仕事をしたと思います。ケヴィン・コンロイ版バットマンよりもさらにダークなバットマン像で、「ニュー・フロンティア」の設定下でのこの役柄にぴたりとマッチしていると思います。

スーパーマンとバットマン

さて、次に私の愛するスーパーマンの声について。
「ニュー・フロンティア」の中での彼の出番はとっても少ないんですが、重要なシーンのいくつかに登場します。
プロデューサーのブルース・ティムは、「カイル・マクラクランはとってもいい役者だから現代のスーパーマンでも問題なく演じられるだろうけど、特に今回の1950年代のスーパーマンには完璧だったよ。50年代のスーパーマンはこんな風に話すだろう、という僕たちの想像する通りのものを表現してくれたんだ。」と語っていましたが、あの当時の白黒映画などでなんとなく’50年代の話し方’がわかるような気はしますが、この映画の中ではその特徴みたいなものは拾えませんでした。でも演技力は申し分なく発揮してくれ、スーパーマンとして問題なく受け入れられました。さすがです。

最後に、実は一人だけ残念に思った声優さんがいます。ケビン・ベーコンの実生活の奥さまのカイラ・セジウィック。彼女はロイス・レーンの声を担当していますが、その’50年代’の話し方を意識したものなのかどうか(?)、デイリー・プラネットのビルの屋上に座ってスーパーマンと話しているシーン。
う〜ん...なんか脚本をそのまま《棒読み》してるみたいに聞こえる...^^;
きっとこれは自分がこのキャラクターに入れ込んでいるせいだと思いなおし(前述したバットマンの声にうるさいファン達も、このキャラを愛するがゆえなんですよね、厳しく批判するのは...)、さらに映画は進行してラストのクライマックスに近いシーン。カメラに向かい、「スーパーマンの敗北」を報告している途中で泣き崩れるシーン。あーーー、ここでも感情移入できない!これって私だけでしょうか?? 私だけであってほしい。^^;

原作者ダーウィン・クックのオーデイオ・コメンタリーを聞いていたんですが、彼はこのシーンを解説するとき、心なしか声を詰まらせているようなんですよね。で、コメントの中でも「(このシーンでの)彼女には感情的になってしまったよ。」と言っている。原作者本人がそう言うくらいだから、きっと英語圏の人たちには、これらのシーンはうまくいっていると思っていいんでしょう。(たぶん)

一つ感謝したいのは、原作では丸顔ぽっちゃりの童顔に描かれていたロイス。映画バージョンではきちんといつものきれいで洗練されたロイス像へと変更が加えられていました。これは特記していいと思います。なぜなら彼女以外のキャラクターは、ほんとうに文字通り原作コミックからそのまま飛び出してきたかのような瓜二つのデザインなんですから!

スーパーマンとロイス


■ 音楽...聞けば聞くほど<味>が出る

最初、音楽についてはちょっと物足りない感じがしたんですが、その後何回か繰り替えし映画を観てみてそう感じた理由がわかりました。
映画全編に統一したメインテーマがないんです。
それぞれのキー・キャラクターのテーマ曲はあるんですが(特にグリーンランタンとフラッシュ)、映画を観終わってから、知らず知らず口ずさんでいるような決定的な印象を残す曲がないんですね。

でも!それぞれの見所となるシーンの音楽は、それぞれもーーー素晴らしい!!特にクライマックスの、ヒーローたちの活躍シーン。映像と音楽、そしてめちゃかっこい’あの’ヒーローの活躍ぶりで、鳥肌がたつくらい。演出もにくいほど上手です。
ラスト、ケネディ大統領の有名な<ニューフロンティア政策>スピーチのバックに流れる曲も、さりげなくはあるんですがコミックの中のアイコニックなパネルと、スピーチの内容が一体となって感動的です。


■ アニメーション...CGと手作りタッチが絶妙に調和

おそらく日本のアニメーションを見慣れている人たちにとっては、アメリカのアニメーションは雑に見える(?)かもしれませんが、最新CGグラフィック技術と、一つ一つ手作業で作られた芸術的なパネルが見事に調和して、これまたすばらしい出来。今回は時代設定がいつもとガラリと違うために、何一つ以前の作品から使える(又は参考にできる)パネルがなかったはずなのですが、登場人物の着ている洋服から、建物、部屋のインテリア&小物まで、細かな部分まですべて丁寧な仕事がほどこされているのがよくわかる。バットマン・ファンにとっては、50年代のバットケーブ&バットモービルなどが見れるだけで嬉しくなってしまうのではないでしょうか。


■ 総評...映画が終わる頃には脇役キャラの一人一人にまで愛情が..

実際は、この他にもフラッシュとアイリス、ハル・ジョーダンとキャロルの間のロマンス、そして政府の役人’ファラデイ’とジョン・ジョーンズとの間の友情と、いろいろなサブプロットが同時進行し、ラストで一大クライマックスを迎えます。

ジャスティスリーグ・ニューフロンティアでは3組のカップルのロマンスが...


この映画は、作者ダーウィン・クック本人が語っていたように、彼が愛して止まないシルバーエイジ・コミックへのオマージュです。
ゴールデンエイジが終わった時点でまだかろうじてファンの人気を保っていたのはスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンだけでした。ですからシルバーエイジは、新しいヒーローが生まれ、スーパーヒーローブームが復活してコミック界に新たな時代の到来を告げた、ヒーローものがもっとも盛り上がった時代の皮切りとなったわけです。
ジャスティスリーグ・ニューフロンティア」は、そんなコミック最盛期へのターニングポイントとなった、新しいヒーロー達が誕生した輝かしい瞬間を、アメリカがケネディ大統領を迎えてアメリカ全体が期待に満ち、希望であふれていた次代と重ね合わせて描いた意欲作です。

ラストのケネディ自らの声で流れる有名な<ニューフロンティア精神>のスピーチに、思わずほろりとなるアメリカ人は多いのではないでしょうか?
アメリカ愛国精神が前面に出たテーマは私たち外国人にとってはひいてしまうことも度々ありますが、この映画は最後まで純粋に「エンターテイメント」として楽しめました。

主役はグリーンランタン(ハル・ジョーダン)とマーシャン・マンハンターですが、この映画のベースにあるのは人間の「ヒロイズム」。物語の中には誰一人として<悪役>が登場せず(あ、キャプテン・コールドは悪役でした。^^;)、厳密に言えば、【センター】でさえ悪役ではないわけです。地球に脅威を及ぼしかねない生物としての’人間’を一掃しようとしているのですから、いわゆるラーズ・アル・グールのような究極のエコ・テロリストといえます。(やっぱり悪人か..)
政府の役人、フィッグとハル・ジョーダンが、ロケットを爆破するかどうかで殴りあうシーンにしても、お互いそれぞれ自分が「正しいこと」をしようとしている。そしてマーシャン・マンハンターを捕えて拘束の身としているファラディが、この自分が恐れていた未知の世界の異星人が、実は自分の一番の仲間となり得ることに気づくシーンには心を揺り動かされずにはいれません。

ファラディとマーシャン・マンハンター


スーパーマンのおなじみキャラとしてはジミー・オールセンが登場するんですが、セリフが一言もないというのにこれがなかなかいい味出している。恐竜にパクーッと丸呑みされそうになっているというのに、その瞬間さえも<スクープ>としてカメラのシャッターを切ろうとするプロ根性に拍手!
製作当初、プロデューサーのブルース・ティムはロイス、ワンダーウーマンを登場キャラからはずそうと思っていたそうですが、原作者のダーウィン・クックから説得されて思いとどまったとか。(Thank GOD!)今ではそうして大正解だったと本人も認めていますが、これだけたくさんの登場キャラクターがいながら、混みいった感じになっていないのがすごい。そればかりか映画のラストが近づく頃には、脇役キャラにまで愛情を感じずにはいられないほど感情移入している自分がいました。
これもすべて原作コミックのスピリットを損なわずに、75分という限られた時間内の中に忠実に再現することに成功した製作チームの努力の賜物だと思います。

この映画の主人公はハル・ジョーダンとマーシャン・マンハンターですが、バットマンやスーパーマン・ファンはもちろんのこと、ヒーローもののファンの皆さんにぜひおススメしたい1本。

その他にはフラッシュ(バリー・アレン)の活躍が見れるのと、カメオ出演で、レイ・パーマー(アトム)、グリーンアロー、アダム・ストレンジ、そしてアーサー(アクアマン)が登場します。

ジャスティスリーグ・ニューフロンティア ヒーロー!

最後に少しだけDVDの特典について。
今回発売されたDVDは、特別版2枚組と1枚組とそれぞれありますが、これまで「ジャスティスリーグ」TVアニメーション・シリーズを見たことがない方は特別版2枚組のほうに、3エピソード特典として収録されているのでおススメ。今や<伝説>といわれるまでになったブルース・ティムの最高傑作の一つといえる同シリーズを垣間見るには最適だと思います。

はじめこの3つのエピソード(「Dark Heart」「To Another Shore」「Task Force X」)のタイトルをパッと見たとき、ランダムに選ばれたのかなと思っていたんですが、久しぶりに見てみて、ちゃーんと意図的に選択されたエピソードであることがよくわかりました。
「To Another Shore」には、マーシャン・マンハンターの<地球>といういわば大きな異国での孤独感がよくわかる秀作。(しかもファラデイもいるじゃないですか!最初観た時は彼が誰かさえも知らなかった...^^;)
「Dark Heart」はレイ・パーマー(アトム)について、「Task Force X」は、国に仕える役人としてのフィッグ大佐を理解するのにとても役立つストーリーとなっています。

ジャスティスリーグ・ザ・ニューフロンティアは、米国アマゾンにて発売中。
ジャスティスリーグ・ザ・ニューフロンティア(2枚組)

「ジャスティスリーグ・ザ・ニューフロンティア」


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